公開日:2025年10月6日

ページネート/目次切り替えテスト用記事② 菱田春草フォトレポート

会期は10月4日〜11月30日。《黒き猫》は前期(10月4日〜11月3日)のみの展示

重要文化財 菱田春草 黒き猫 明治43(1910) 永青文庫蔵 ※前期展示

永青文庫で、「重要文化財「黒き猫」修理完成記念『永青文庫 近代日本画の粋 ―あの猫が帰って来る!―』」が開催される。会期は10月4日〜11月30日。

本展は、菱田春草の代表作《黒き猫》の修理完成を記念して行われるもの。同館が所蔵する春草作品全4点を前・後期に分けて公開するほか、横山大観、下村観山、鏑木清方といった近代日本を代表する画家たちの作品も一堂に展示する。担当学芸員は舟串彩。

前期は10月4日〜11月3日、後期は11月7日〜11月30日。前期・後期で大幅な展示替えを予定しており、《黒き猫》は前期のみの公開。後期は春草の晩年のもうひとつの代表作《落葉》(重要文化財)を展示する。また後期には特別展示として、中国の禅僧・清拙正澄と楚石梵琦による、重要文化財の墨蹟2点が修理後初公開される。

“看板猫”がより美しくなって帰ってきた

展示は2階〜4階の3フロアにわたって展開。まず4階では、本展の目玉である《黒き猫》が来場者を迎える。

永青文庫に伝わる、同館創立者・細川護立(1883~1970)の近代日本画コレクションのなかでも不動の人気を誇る“看板猫”だという《黒き猫》は、菱田春草(1874~1911)が亡くなる前年、36歳のときに描かれた作品で、明治43年(1910)の第4回文展に出品された。もともと春草は別の屏風作品を出品すべく準備を進めていたが、仕上がりに納得できずに制作を中断し、代わりにわずか5、6日で描き上げられたのが本作。春草は猫が苦手だったそうだが、画題として好んで取り上げており、未完成の作品を含めると20点以上の猫の作品を残している。

会場風景

当初は中国の古い絵画を手本とし、ぶち猫を多く描いていたが、33〜34歳頃から黒猫を描くようになり表現を発展させていく。なかでも完成度の高い作品として知られる《黒き猫》は、金泥や青緑を用いて平面的に描かれた柏の葉と、写実的な猫の対比が印象的。猫のふわふわとした毛並みが墨のぼかしのみで表現されており、その手触りを思い起こさせるようだ。さらに墨の濃淡で猫の立体感を表すなど、様々な表現の試みが行われている。

重要文化財 菱田春草 黒き猫 明治43(1910) 永青文庫蔵 ※前期展示

本作は春草と親交が深かったパトロン・秋元洒汀(1869~1945)が真っ先に入手したのち、大正期に護立の手に渡った。護立は春草を高く評価して、春草の没後も作品の収集を続け、20点を超える作品をコレクションしたという。

制作から100年が経ち、本作をより安定した状態で後世に伝えていくため、このたび初となる本格的な修理が行われた。現時点では深刻な損傷は見られないものの、掛軸全体の波打ちや本紙のシミ、裏面の汚れや浮きなどが見られていたという。永青文庫では文化財修理プロジェクトとして本作を含む3作品を中心とした修理のためのクラウドファンディングを行い、943人超から1475万5千円の支援を得た。この支援と国・東京都・文京区からの補助によって修理が完成し、同館では5年ぶりの公開となった。会場では、修理の様子もパネルで紹介されている。

会場風景より

Tokyo Art Beat Mail Magazine

アートの最新情報を、毎週お届けします。
登録は無料です。